疼痛緩和を目的に整形外科領域では多くの非ステロイド抗炎症薬(NSAID)が使用されています。こうした薬によって高頻度に胃・十二指腸潰瘍が形成され、中止が困難な場合には、プロトンポンプ阻害薬(PPI)やプロスタグランジン(PG)製剤の投与が必要であることが知られています。しかし、具体的な薬剤の使い方に関しては、戸惑った経験のある医師も少ないないとされています。これに対し、日本消化器病学会の編集による「消化性潰瘍診療ガイドライン」最新版が刊行されました。
ガイドライン作成の評価委員会を努めた日本医科大学消化器内科教授の坂本氏は、「治療や予防に関するクリニカルクエスチョンをできるだけ詳細に設定し、問題の答えとなるステートメントの表記で、その推奨度や根拠となるエビデンスレベル、保険適用の有無までわかりやすく記載した」と強調しています。
実際に、薬剤性潰瘍の項目を見てみると、治療のフローチャートでは、ヘリコバクター・ピロリの陽性・陰性に関わらず、まずはNSAIDを中止し、中止が困難な場合にはPPIやPG製剤を投与すると明記されました。
注目すべき点はステートメントです。PPI、PG製剤、H2受容体拮抗薬がそれぞれ何に対して有効なのか、潰瘍の発生予防か再発予防か―に至るまで細かく示されています。COX-2選択的阻害薬については、その潰瘍予防における有用性のほか、心血管イベントリスク増加という側面についても触れています。また、防御因子増強薬についても明記されました。レパミピドがNSAID潰瘍の一時予防において、ミソプロストールと同等だったという試験結果を踏まえたものです。
約1週間のNSAID投与で吐血する患者もいるため、短期間の投与だから軽視せず、高齢者や潰瘍のある患者、アスピリン、副腎皮質ステロイド、ビスホスホネートなど複数の薬剤を併用している患者においては、薬剤性潰瘍について十分な注意を払うことが必要です。
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